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    伊坂幸太郎の世界 1

    オーデュボンの祈り
    オーヂュポン

    既存のミステリーの枠にとらわれない大胆な発想で、
    読者を魅了する伊坂幸太郎のデビュー作。
    レイプという過酷な運命を背負う青年の姿を爽やかに描いた
    『重力ピエロ』や、特殊能力を持つ4人組の強盗団が活躍する
    『陽気なギャングが地球を回す』など、特異なキャラクターと
    奇想天外なストーリーを持ち味にしている著者であるが、その
    才能の原点ともいえるのが本書だ。事件の被害者は、なんと、
    人語を操るカカシなのである。 コンビニ強盗に失敗した伊藤は、
    警察に追われる途中で意識を失い、見知らぬ島で目を覚ます。
    仙台沖に浮かぶその島は150年もの間、外部との交流を持たない
    孤島だという。そこで人間たちに崇拝されているのは、言葉を話し、
    未来を予知するというカカシ「優午」だった。しかしある夜、何者
    かによって優午が「殺害」される。なぜカカシは、自分の死を予測
    できなかったのか。「オーデュボンの話を聞きなさい」という優午
    からの最後のメッセージを手掛かりに、伊藤は、その死の真相に迫
    っていく。 嘘つきの画家、体重300キロのウサギさん、島の規律
    として殺人を繰り返す男「桜」。不可思議な登場人物たちの住む島は、
    不条理に満ちた異様な世界だ。一方、そんな虚構に比するように、
    現実世界のまがまがしい存在感を放つのが、伊藤の行方を執拗に追う
    警察官、城山である。本書が、荒唐無稽な絵空事に陥らないのは、
    こうした虚構と現実とが絶妙なバランスを保持し、せめぎあっている
    からだ。本格ミステリーの仕掛けもふんだんに盛り込みながら、時に、
    善悪とは何かという命題をも忍ばせる著者の実力は、ミステリーの果て
    しない可能性を押し開くものである。(中島正敏)

    ラッシュライフ  
    ラッシュライフ

    まずは平行した時間の流れの中で、いくつかの出来事が置き、
    それぞれの流れの主人公のキャラクターが明らかになって行く
    という展開、それぞれが基本的には独立しているのだけれど、
    時折それらが交錯し、影響しあっているように見える。
    それだけならばよくある群像劇。どこかでそれらの物語が合流し、
    意外な物語を紡ぎだし、クライマックスに向けて加速するという
    展開が予想できる。しかし、伊坂幸太郎は違う。彼はただ平行した
    時間の流れの中で複数の物語を紡いでいるわけではない。平行に進
    んでいると思って読んでいると、少しずつ少しずつそこに齟齬を感じ
    るようになる。そのような仕掛けがなされている。それ以上はネタ
    ばれになってせっかくの傑作の面白みが半減してしまうので書かない
    が、とにかくいえるのは、これはミステリとして非常に優れた作品で
    あると同時に、単なるミステリーではないということ。物語というも
    のの本質を突いた純文学ならぬ純物語であるということだ。
    物語というものを愛してやまない私は、この伊坂幸太郎はまったくの
    天才だと思う。この人の紡ぐ物語には魔力がある。デビュー作となった
    『オーデュボンの祈り(id:kn2:20050530)』も魅力的だった

    陽気なギャングが地球を回す 
    地球の回り

    確実に他人の嘘を見抜くリーダーを筆頭に、正確な体内時計の持ち主、
    演説の達人、天才スリという面々で組織されたギャング団が活躍する
    長編サスペンス。著者は、言葉を話すカカシ「優午」が殺されるとい
    う奇想天外なミステリー『オーデュボンの祈り』や、レイプという犯
    罪の末に誕生した主人公「春」の苦悩を爽快なタッチで描いた『重力
    ピエロ』など、作品ごとに個性的なキャラクターを生み出してきた
    伊坂幸太郎。特異な才能を持つ4人の男女が、思わぬ事態に巻きこまれ
    ていく本書は、その真骨頂ともいえる痛快クライム・ノベルだ。
    市役所で働く成瀬、喫茶店主の響野、20歳の青年久遠、シングルマザー
    の雪子たちの正体は銀行強盗。現金輸送車などの襲撃には「ロマンが
    ない」とうそぶく彼らの手口は、窓口カウンターまで最小限の変装で
    近づき「警報装置を使わせず、金を出させて、逃げる」というシンプ
    ルなものだ。しかしある時、横浜の銀行を襲撃した彼らは、まんまと
    4千万円をせしめたものの、逃走中に他の車と接触事故を起こしてし
    まう。しかも、その車には、同じ日に現金輸送車を襲撃した別の強盗
    団が乗っていた。

    著者の持ち味ともいえるのは、コメディー映画のような軽妙なストー
    リーの中に、自閉症の子どもや、中学生のいじめといった、活劇とは
    そぐわないように見えるテーマを、違和感なく滑りこませている点で
    ある。社会から異端視されている者たちを、シニカルにではなく、爽
    やかに描いてきた著者は、本書においても「正しいことが人をいつも
    幸せにするとも限らない」と高らかに宣言する。どこまでも明るい
    ギャング団の奮闘の影には、そんな著者からの深遠なるメッセージが
    見え隠れしている。(中島正敏)

    重力ピエロ
    重力ピエロ

    半分しか血のつながりがない「私」と、弟の「春」。春は、私の母親が
    レイプされたときに身ごもった子である。ある日、出生前診断などの
    遺伝子技術を扱う私の勤め先が、何者かに放火される。町のあちこちに
    描かれた落書き消しを専門に請け負っている春は、現場近くに、スプレー
    によるグラフィティーアートが残されていることに気づく。連続放火事件
    と謎の落書き、レイプという憎むべき犯罪を肯定しなければ、自分が存
    在しない、という矛盾を抱えた春の危うさは、やがて交錯し…。

    著者は、新潮ミステリー倶楽部賞受賞作『オーデュボンの祈り』で言葉を
    話すカカシを登場させ、『陽気なギャングが地球を回す』では、特殊能力
    を持ったギャング団一味を軽妙なタッチで描いてみせた伊坂幸太郎。
    奇想天外なキャラクターを、巧みなストーリーテリングで破綻なく引っ
    張っていく手法は、著者の得意とするところである。本書もまた、春と
    いう魅力的な人物を縦横に活躍させながら、既存のミステリーの枠に
    とらわれない、不思議な余韻を残す作品となっている。

    伊坂流「罪と罰」ともいえる本書は、背後に重いテーマをはらみながら
    も、一貫して前向きで、明るい。そこには、空中ブランコを飛ぶピエロ
    が、一瞬だけ重力を忘れることができるように、いかに困難なことであ
    っても必ず飛び越えることができる、という著者の信念が感じられる。
    とくに、癌(がん)に冒されながらも、最後まで春を我が子として支
    援する父親の存在が、力強い。春が選んだ結末には賛否両論があるに
    違いないが、「本当に深刻なことは陽気に伝えるべきなんだよ」と春
    に語らせた著者のもくろみが成功していることは、すがすがしい読後
    感が証明している。(中島正敏)

    チルドレン 
    チルドレン

    伊坂幸太郎は時間を自由に旅する。この5つの短編を再構成した長編
    小説のようなものでも、ふたつの時間が交互に登場する。そのふたつ
    の時間をつなぐのは陣内という人物。大学生の頃の陣内は盲目の永瀬
    という主人公の友人として登場し、家裁の調査官となった陣内は同じ
    家裁の調査官である鴨居の先輩として登場する。

    そう、この小説は陣内という人物を縦糸としていながら、彼は物語の
    主人公=語り手ではない。どちらの時間においても主人公が陣内につ
    いてかたるという形で物語が進行して行くのだ。この語り手が章ごと
    に代わるという展開の仕方も伊坂幸太郎のひとつのパターンである。
    この語り方によって伊坂幸太郎が実現するのは浮遊感である。読み手
    が一人の人物の視点に固定されずに、複数の視点からものを眺めるこ
    とによって感じる浮遊感。それは伊坂幸太郎が好きな映画でカメラが
    様々な視点から世界を切り取るのに似ている。

    しかし、この作品にはそれほど浮遊感はない。それはこの作品には
    陣内という中心がしっかりとあるからだ。時間を飛び越えるという
    感覚はあるけれど、空から世界を眺めているような浮遊感はあまり
    ない。だから物語としては今ひとつ弱いという気はする。  
    『はてなダイアリー』より

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